ナイスシーン強羅は、箱根町宮城野の明神平に建つ総戸数51戸・1991年7月築(鉄筋コンクリート造3階建・壱〜参番館)のリゾートマンションです。24時間利用できる温泉大浴場に露天風呂・ジャグジー・サウナを備え、2026年7月23日時点でエンゼル不動産に3件(390万〜730万円)の売出が確認できます。編集部の診断は、相場指数は上昇を示すが、実売出3件のうち2件は指数を3〜4割下回る安値で並ぶ「要観察」。管理費+積立金は月6.2万〜6.8万円と箱根でも最重量クラスで、390万円の住戸の保有コスト率は年19%に達する。買値の安さは、51戸で温泉フル装備を支える固定費の重さの裏返し、というものです。
売出は坪21.1万〜35.8万円。指数36万円/坪と実売出が逆方向に乖離
エンゼル不動産で確認できた売出3件はすべて南東向きの1LDKで、弐番館2階61.12㎡が390万円(21.1万円/坪)、参番館2階67.42㎡が480万円(23.5万円/坪)、参番館3階67.42㎡(WIC付)が730万円(35.8万円/坪)です。マンションマーケットの参考坪単価は36万円/坪(㎡単価11万円)で、3年前比+3万円/㎡・直近も+1万円/㎡と上昇を示しますが、この指数水準に並ぶのは730万円の1件だけ。残り2件は指数を3〜4割下回ります。「統計は上昇、実売出は安値」という逆方向の乖離であり、下値の実勢は成約事例でしか確認できません。判定は「要観察」です。
保有コスト率は年11.2〜19.0%。管理費だけで㎡650円の最重量クラス
1LDK61.12㎡の実例では、管理費39,730円+修繕積立金22,000円=月61,730円。67.42㎡では管理費43,820円+修繕積立金24,270円=月68,090円で、いずれも共用施設管理費2,200円/月が別途かかります。売出価格390万円の住戸なら管理費+積立金だけで年約74.1万円、保有コスト率は年19.0%。約5年の固定費で物件価格に並ぶ計算です。730万円の住戸でも年11.2%。固定資産税も61.12㎡で年約10.4万円(令和7年度)かかります。管理費の㎡単価約650円は、24時間大浴場・露天風呂・ジャグジー・サウナ・フロント常駐を51戸だけで支えている直接的な結果です。
修繕積立金360円/㎡は国交省目安の上限を超える
修繕積立金は61.12㎡住戸で月22,000円、67.42㎡住戸で月24,270円、いずれも㎡単価360円です。国土交通省ガイドラインの目安(大規模マンションで190〜325円/㎡)の上限を上回っており、「積立不足」とは逆の、積立を厚く取らざるを得ない構造です。3階建でエレベーターがない一方、給水は井戸水・排水は集中浄化槽と自前インフラを抱え、温泉設備と合わせて修繕対象が多い建物です。築35年、管理はビルシステムへの全部委託・管理員常駐(フロント8:00〜17:00、火・水定休)です。
編集部の診断
判定は「要観察」です。51戸に対して売出3件(約5.9%)は小規模物件としては高めの売出比率で、月6万円超の固定費が売り手を生み続ける構造が疑われます。指数の上昇表示を鵜呑みにせず、購入目線は実売出の下値である坪21〜22万円=61㎡で400万円前後を基準とし、730万円の高値には室内状態・階数以外の根拠を求めるべきです。確認すべきは、(1)月約6.4万円(共用施設管理費込み)の固定費に見合う利用頻度があるか、(2)井戸水・浄化槽・温泉設備を含む長期修繕計画と積立残高(360円/㎡でも足りているか)、(3)バス便主体のアクセス(箱根湯本駅からバス約18分・明神平下車徒歩10分)を許容できるかです。温泉設備の充実度は箱根の中規模物件で屈指ですが、それを51戸で割る覚悟が要る物件です。