エリゼ熱川は、東伊豆町奈良本の高台に建つ総戸数173戸・1991年4月築(鉄骨・鉄筋コンクリート造13階建・地下1階付)の大型リゾートマンションです。温泉大浴場・露天風呂・サウナに屋内外2つのプールを備え、伊豆熱川駅から徒歩圏(近道で約300m)という熱川では希少な立地です。2026年7月時点でエンゼル不動産に9件(790万〜1,580万円)の売出が確認できます。編集部の診断は、坪単価は相場指数のレンジ内で価格急落の兆候はないものの、売出は総戸数の5.2%と多く、月6万〜10万円台の管理費等が購入価格に対して年8〜11%に達する。「価格」より「毎月の固定費」で判断すべき「要観察」圏の物件、というものです。
売出は坪21.4万〜29.8万円。相場指数のレンジ内に収まる
エンゼル不動産で確認できた売出9件はすべて南東向きの海側で、価格は790万〜1,580万円、坪単価は約21.4万〜29.8万円/坪(中央値26.4万円/坪)です。特徴的なのは住戸の大きさで、9件中8件が99.9〜122.21㎡の2SLDK、最大は175.02㎡・1,580万円の2住戸連結タイプです。マンションマーケットの参考坪単価は19万〜27万円/坪で、実売出はこのレンジ内からやや上に分布し、同サイトの相場は1年前比・3年前比とも変動なし。統計上も実勢も急落は確認できません。ただし、100㎡超の同タイプ住戸が8件並ぶ構図は、売り手同士の値下げ競争に転じやすい点に注意が必要です。
保有コスト率は年8.0〜11.2%。122㎡住戸は管理費等だけで月73,589円
2SLDK122.21㎡の実例では、管理費58,760円+積立修繕費14,829円=月73,589円。これに水道基本料1,430円/月が加わり、固定資産税は約174,200円/年(令和8年度)です。売出価格790万円の3階住戸なら管理費等だけで年約88.3万円、保有コスト率は年11.2%。最も低い175㎡・1,580万円の住戸でも年8.0%です。住戸が大きいぶん月額の絶対値が重く、リゾートマンションとしては「買った後」の負担が大きい部類に入ります。10年保有すれば管理費等の累計が物件価格に迫る水準です。
積立修繕費121円/㎡は国交省目安を大きく下回る
積立修繕費は122.21㎡住戸で月14,829円、99.9㎡住戸で月12,122円、いずれも㎡単価約121円です。国土交通省ガイドラインの目安(大規模マンションで190〜325円/㎡)を大きく下回ります。一方で管理費は約481円/㎡と重く、温泉大浴場・露天風呂・サウナ・屋内外プール・フロントサービスの維持は管理費側に大きく依存する構造です。2021年に大規模修繕を実施済みである点はプラス材料ですが、築35年でこの設備量に対して積立121円/㎡は、将来の値上げか一時金の余地を見込んでおくべき水準です。給湯は各戸電気温水器(ガスなし)、排水は合併処理浄化槽で、専有部側の更新費用も確認が必要です。
編集部の診断
判定は「要観察」です。価格は相場指数と整合しており急落の証拠はありませんが、173戸に対して売出9件(約5.2%)は需給が緩く、しかも大型2SLDKに集中しています。駅徒歩圏・設備充実という熱川屈指の商品力がある一方、それを支える固定費は月6万〜10万円台と重量級です。購入目線は中央値の坪26.4万円前後を基準に、122㎡タイプなら最安の790万円(坪21.4万円)が交渉の起点になります。確認すべきは、(1)積立121円/㎡で温泉・2つのプールを維持できるのか、長期修繕計画と積立残高、(2)月7万円超の管理費等と自身の利用頻度の釣り合い、(3)同型住戸8件の売出が価格に与える下押し圧力です。この物件は「いくらで買うか」より「月々いくら払い続けられるか」で決まります。
