ライオンズヒルズ熱川は、東伊豆町奈良本の温泉之上に建つ総戸数126戸・1992年2月築(鉄筋コンクリート造15階建)の大型リゾートマンションです。温泉大浴場・サウナ・ジェットバスに夏期屋外プール、テニスコートを備え、伊豆熱川駅から近道で約500m。2026年7月時点でエンゼル不動産に6件(200万〜720万円)の売出が確認できます。編集部の診断は、相場指数は坪54万円・上昇傾向を示すが、実売出は坪23.5万〜41.2万円と指数を大きく下回っており、指数を基準にした判断は危険。一方で2022年に大規模修繕を終え、積立修繕費233円/㎡は国交省目安のレンジ内と、修繕面の健全性は今回調査した伊豆5棟で最も良い「要観察」物件、というものです。
売出は坪23.5万〜41.2万円。「坪54万円・上昇中」の指数とは大きな開き
エンゼル不動産で確認できた売出6件は200万〜720万円、坪単価は約23.5万〜41.2万円/坪(中央値32.6万円/坪)です。28.17㎡の小型タイプが200万〜350万円、57.75㎡の2LDKが580万〜720万円という構成です。一方、マンションマーケットの参考坪単価は54万円(㎡16万円)で、1年前比は上昇傾向・3年前比+9万円/㎡と強気の数字を示します。しかし実際に市場に出ている6件は全てこの指数を下回っており、指数の上昇を実勢の売出価格が裏付けていません。売り手が指数を根拠に高値で出せば長期売れ残り、買い手が指数と比べて「割安」と即断すれば高値掴みになり得ます。実勢の物差しは実売出の中央値32.6万円/坪側に置くべきで、判定は「要観察」です。
保有コスト率は年6.6〜11.8%。200万円の住戸は固定費だけで年11.8%
2LDK57.75㎡の実例では、管理費26,100円+積立修繕費13,460円=月39,560円。1DK28.17㎡は管理費13,100円+積立6,560円=月19,660円で、いずれも水道基本料943円/月が別途かかります。固定資産税は57.75㎡住戸で約77,900円/年です。売出価格200万円の3階住戸なら管理費等だけで年約23.6万円、保有コスト率は年11.8%。最も低い720万円の10階住戸でも年6.6%です。200万円台の安さに目を引かれても、月2万円弱の固定費は約8年で購入価格に並びます。
積立修繕費233円/㎡は国交省目安のレンジ内。修繕履歴の透明性も高い
積立修繕費は28.17㎡住戸で月6,560円、57.75㎡住戸で月13,460円、いずれも㎡単価約233円です。国土交通省ガイドラインの目安(大規模マンションで190〜325円/㎡)のレンジ内に収まっており、温泉・プール併設のリゾートマンションとしては健全な水準です。2022年8月に大規模修繕を完了しているほか、2001年以降の給水ポンプ交換・インターホン改修・鉄部塗装などの工事履歴が公開されており、修繕の透明性は高いと言えます。ただし給湯は各戸電気温水器(ガスなし)で、最安の200万円住戸には「電気温水器故障の可能性有・現況渡し」の注記があるなど、専有部の設備更新費は住戸ごとの個別確認が必要です。排水は集中浄化槽です。
編集部の診断
判定は「要観察」です。理由は建物ではなく「指数と実勢の乖離」にあります。126戸に対して売出6件(約4.8%)とやや多めですが、建物側は2022年大規模修繕済み・積立233円/㎡と、設備重量級リゾートの中では例外的に修繕態勢が整っています。購入目線は実売出中央値の坪32.6万円前後を基準に、南向き28.17㎡なら250万円以下(坪29万円台)、57.75㎡なら580万円(坪33.2万円)が起点です。確認すべきは、(1)相場指数(坪54万円)ではなく実売出ベースの価格交渉ができるか、(2)対象住戸の電気温水器の状態と交換費用、(3)2022年大規模修繕後の積立残高と次期計画です。「建物の健全性は高いが、値付けの物差しが混乱している」——それがこの物件の現在地です。