エンゼルリゾート伊豆稲取は、東伊豆町稲取の高台に建つ総戸数383戸・1989年7月築(鉄骨・鉄筋コンクリート造14階建・地下2階付)の、東伊豆でも最大級のリゾートマンションです。源泉掛け流しの温泉大浴場に屋内外2つのプール、レストラン、スカッシュコート、テニスコート、パターゴルフ、駅・スーパーへの送迎バスまで備え、管理員は通年24時間体制。2026年7月時点でエンゼル不動産に確認できた売出は最上階の1件(1,580万円)のみです。編集部の診断は、383戸に対して売出1件(0.3%)という需給の引き締まりと変動なしの相場指数から価格面は「安定」。ただし積立修繕費150円/㎡は国交省目安を大きく下回り、この巨大な共用施設群を長期的に維持できるかは管理費・積立の中身の確認が必須、というものです。
売出は最上階1件のみ。坪52.8万円は指数上限をやや上回るプレミアム価格
エンゼル不動産で確認できた売出は、最上階14階・2SLDK99㎡・南西向きの1,580万円(坪単価約52.8万円)の1件だけです。マンションマーケットの参考坪単価は36.4万〜49.6万円(㎡11万〜15万円)で、売出価格はこの上限をやや上回りますが、最上階のプレミアムを考えれば大きな乖離ではありません。同サイトの相場は1年前比・3年前比とも変動なし。LIFULL HOME’SやSUUMOの同建物ページは掲載停止中で、他ポータルにも現況の売出は確認できませんでした。383戸という規模で市場に出る玉が1件という状態は、今回調査した伊豆5棟で最も需給が引き締まっており、判定は「安定」です。
保有コスト率は年3.8%。ただし月49,500円+水道基本料の固定費
売出中の2SLDK99㎡の実例では、管理費34,650円+積立修繕費14,850円=月49,500円。これに水道基本料1,200円/月が加わり、固定資産税は約128,200円/年(令和6年度)です。売出価格1,580万円に対する保有コスト率は年3.8%と、価格が維持されているぶん比率は低めですが、月5万円超の固定費は24時間管理・送迎バス・温泉・2つのプール・レストランというホテル並みのサービスの対価です。仮に500万〜600万円台の中層階住戸(マンションマーケット参考相場660万〜690万円)を購入した場合、同水準の管理費等なら保有コスト率は年7〜9%程度に跳ね上がる点は認識しておくべきです。
積立修繕費150円/㎡は国交省目安を大きく下回る。設備量とのギャップが最大の論点
積立修繕費は99㎡住戸で月14,850円、㎡単価約150円です。国土交通省ガイドラインの目安(大規模マンションで190〜325円/㎡)を大きく下回ります。源泉掛け流し温泉・サウナ・ジャグジー・屋内外プール・スカッシュコート・レストラン・送迎バスと、伊豆でも最重量級の共用施設を抱える築37年の建物としては、明らかに軽い積立です。確認できる大規模修繕の記録は2008年3月実施が最後で、以後18年分の劣化に対する工事履歴は物件ページからは確認できません。飲用水は井水、排水は集中浄化槽、ガスなし(給湯は各戸電気温水器)と、インフラも自前設備に依存しており、将来の値上げ・一時金の可能性を織り込んで検討すべきです。
編集部の診断
判定は「安定」です。需給(売出0.3%)と指数(1年・3年変動なし)は文句なしですが、それはあくまで価格面の評価です。この物件の本当の検討課題は、(1)積立150円/㎡で維持できる規模を超えた共用施設群——長期修繕計画・積立残高・一時金徴収の履歴と予定、(2)2008年以降の大規模修繕の実施状況、(3)駅から約2.6km(車4分・徒歩33分表記)で送迎バス便数に依存する立地と自身の利用スタイルの相性、の3点です。購入目線は、最上階プレミアムの坪52.8万円を天井に、参考相場の坪36万〜50万円が実勢レンジです。「安く維持されているうちに買う」のではなく「維持費の将来像を確認してから買う」——設備が豪華な巨艦ほど、その順番を守るべきです。
